巧みなブログ

国語教育を勉強していた社会人一年目のブログ

蒸し焼きミッドナイト(コストコの冷凍餃子編)

 

夕飯はシャワーの後に食べたい派だ。

これは中高と部活を終えて帰宅したら「夕飯の前にお風呂入ってきなさい」と何かの台詞のような文言を毎日母から浴びていたからかもしれないし、満腹感(さらにはほろ酔い)の幸せそのままに眠りたいからかもしれないし、はたまた食前に入浴した方が健康に良いとどこかで読んだからかもしれない。

ともかく、夕飯はシャワーの後に食べたい。

 

ここで一つの問題が立ち現れる。シャワー後は「オフ」になるのだ。このことについては多くの人に共感してもらえるのではないかと思う。僕は、自称24歳日本人男性No.1 ON・OFFer(オン・オファー)であるので特にこの傾向が強い。

つまり、風呂場から出た後に料理なんかしたくないのである。

夕飯はシャワーの後に食べたい。しかし、風呂場から出た後に料理なんかしたくない。

母のありがたみと一人暮らしのうら寂しさが不意に襲ってくる。早く梅雨が明けないかな。なんだか喉が渇いてきた。

 

氷を取り出そうと冷凍庫を開けた僕の目に、コストコの冷凍餃子の赤いパッケージが飛び込んでくる。

これだ。

さっきまで頭の奥で聞こえていた雨音は遥か彼方に追いやられ、寂しさの代わりにぼんやりとした充足感が満ちてくる。何せ24歳日本人男性No.1 ON・OFFerだ。切り替えの速さには定評がある。

 

冷凍餃子の大袋を取り出し、調理を始める。油を敷いた小さなフライパンに餃子を並べたら、ちょっと多めの水を張り形の合わない鍋蓋で大雑把に蓋をする。そして加熱スタート、冷凍庫を開けてからここまで4分弱だ。

さぁ、シャワーを浴びよう。体がきれいになる頃には餃子もキレイなあめ色になっているはずだ。髪を洗い、洗顔に辿り着いた時に家庭科の授業で火から目を離すなと習ったことを思い出したがいまさら遅い。

風呂場を出た。若干の不安を抱きつつ、フライパンの様子を伺う。

 

餃子が出来ているではないか。

火を止めて皿に移す。僕は比較的大らかに料理をするため、ほとんど工程のないこの餃子であっても毎回違った出来栄えを見せてくれる。今回はややパリパリだ。

ごま油と醤油とラー油をまとった餃子が胃に収まっていくにつれて、不確かだった充足感は餃子の皮のような薄くも伸びやかな輪郭を帯びていく。

 

怠惰な願望を叶えてくれてありがとう。君のためなら、毎年4000円払い続けてもいい。

おわり

 

コストコの会員の方は是非冷凍餃子を買ってほしい。50個入りのやつだ。