スキーのしおり (発掘されたメモ①)
iPhoneのメモを遡ってたら懐かしいのが出てきたので。こういうのは一回限りだから良いのであって何度も出すのは違うかな、とも思いつつ消してしまうのが惜しかったのでここに残すことにしました。というわけで、いつも以上に内輪な自分の日記的な意味合いが強めです。
スキーのしおり
「たくをは、しおりを彩るよ。」
彼はまるで自然の摂理かのように言い放った。
「彩るかもしれないし、あるいは彩らないかもしれない。でもそんなことは正直どうだったいいんだ。世界から戦争は無くならないし、君は今日だって青チェックだ。たくをの事なんて一体誰が気にする?」
僕がそう言うと、隣の女優はレモネイドを置きながらこう言ったんだ。
「全部雪のせいだ。」
なにがなんだが分からなかった。僕はとりあえず「なるほど。」と言った。すると彼女はニヤリと笑い、そして言った。
「これフリー素材だから」
僕は微笑み「なるほどね。」と言った。もちろん納得はしていない、今だってそうだ。
「君たちは何処へ向かってるんだろう?ところで」僕は訊いてみた。
「戸狩温泉スキー場よ。」
村上春樹が好きだった、それだけだ。
おわり
村上春樹っぽい文章を作るのが好きです。そんなにたくさん読んでいるわけではないのですが。
スキー旅行に向かう友人達に向けて寄稿した文章なんですが、ちょうど同じタイミングでスキー場に向かう夜行バスの事故があってずいぶん肝を冷やした記憶があります。