巧みなブログ

国語教育を勉強していた社会人一年目のブログ

#名刺代わりの小説10選

#名刺代わりの小説10選

 

これ、Twitterで見たことあるでしょうか。

多分、外出自粛で何か本を読みたい人/薦めたい人に向けて出来たハッシュタグだと思います。他の人の10選を検索するのが結構楽しくて、無意識に自分の10選も考え始めていたので、せっかくだからツイートしてみました。それがこちら。

 

  1. 「生きてるだけで、愛。」 本谷有希子
  2. 「死にがいをもとめて生きているの」朝井リョウ
  3. ノルウェイの森村上春樹
  4. 「破戒」 島崎藤村
  5. ハリーポッターと不死鳥の騎士団 」J・K・ローリング
  6. サラバ!西加奈子
  7. 人間失格太宰治
  8. 羅生門芥川龍之介
  9. コンビニ人間村田沙耶香
  10. 「ボクたちはみんな大人になれなかった」燃え殻 

順番には特に意味はありません。

このハッシュタグは「他の人にお勧めしたい」小説10選でも「部屋でゆっくり読みたい」小説10選でもなく「名刺代わりの」小説10選というのがポイントだと思っています。つまり、小説で今の自分を説明するとしたらこの10冊です、っていうことなんじゃないかと(このタグを作った人はそこまで考えてないかもしれませんが)。ともかく、こんな考えで選ばれたのが上の10選です。結構有名所が多くなりました。今回は一番上の「生きてるだけで、愛。」について書きたいなと思います。他については希望があったら書こうかなぁ。

 

 

「生きてるだけで、愛。」本谷有希子

 

生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)

生きてるだけで、愛。 (新潮文庫)

 

 

本谷有希子さんの本はこれしか読んでないので、特にこんな人だよと解説は出来ません。皆さん各自調べていただけたらと思います。

この本を手に取ったきっかけは大学近くのブックオフで別の本を探していた時にたまたま見つけて表紙とタイトルと価格(僕はブックオフで600円を超えると買うのをためらいます)に惹かれて購入しました。余談ですがブックオフをはじめ古本屋は引っ越しシーズンに在庫が増えるそうです。ほしい本がある方は今くらいの時期が狙い目かもしれません。いや、不要な外出は避けましょう。

 

あらすじ

 

 

 

生きてるだけで、ほんと疲れる。鬱が招く過眠症のせいで引きこもり状態の寧子と、出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れながら寧子との同棲を続けている津奈木。そこへ津奈木の元カノが現れたことから、寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、二人の関係にも変化が訪れるが……。

 

 

後述しますが、映画化もされてます。こちらは映画版HPからの引用です。上述の通り、何も調べず買ったので「こんなヘビーな話なの!?」と驚いた記憶があります。

印象的な台詞

「あんたが別れたかったら別れてもいいけど、あたしはさ、あたしと別れられないんだよね一生。」

「いいなあ津奈木。あたしと別れられていいなあ。」

寧子の津奈木に対する台詞なのですが、この台詞に至るまでの経緯も含めてこの本を読んだ人は恐らくみんなこの台詞が頭に残るんじゃないかと思います。僕もこんな気持ちになったことが無いわけではありませんが、ほぼ日常的にこんな感情を抱えながら生きているだろう寧子を想うと胸が痛くなります。ネタバレになるのでこのあたりで。

雑感

この本を読んだリアクションは大きく二つに分かれるんじゃないかと思います。読んでいて気持ち良くない、何なら不愉快になる人とすごく共感できる人の二つ。後者が良くて前者がダメ、というわけではなくて、この本に全く共感できない人は広い意味で不自由のない人生を送って来られたんじゃないかと思います。そういう意味で、「全く不自由のない人生」を過ごせる人は多くないと思うので、例え前者の人であっても多くの人はこの本のどこかには引っかかる部分があるんじゃないかなぁ。

ちなみに僕はどちらかというと前者です。読んでいて不愉快にはなりませんでしたが、寧子(と津奈木)に共感できる部分はあまり多くありませんでした。

僕は自分のことを、自分が何かすれば(寧子のような)他人を助けられるんじゃないかと思いあがって無遠慮な善意を押し付けるタイプの人間だと思ってます。そしてやっかいなことによかれと思ってやってるからタチが悪い。自覚があるだけまだマシかもしれませんが。この本は自分はこんな人間なんだから気を付けなきゃいけないということを再確認させてくれました。

映画版 

趣里菅田将暉が主演を務めています。内容はもちろん、音楽や映像も綺麗でした。菅田将暉に関しては仮面ライダーやってた歌も歌う人くらいの印象だったのですが、この映画を観て好きな俳優の一人になりました。

ただ、個人的には映像がある分小説よりもこっちのほうがしんどくて一度途中で観るのを挫折しました。

netflixで観られるので是非。他でも観られるのかな。

おわり

ブログを書く練習(色んな機能を使うという意味で)にちょうどよさそうだったので「生きてるだけで、愛。」について書いてみました。

読んだり観たりすると辛くなってしまうのですが、定期的に思い出しにいこうと思います。感想等あれば是非コメントを!